ラブソングは舞台の上で
心が震えた。
この世に生まれて24年、年齢なりに恋愛経験はある。
高校1年生で初めての彼氏ができて以降、純粋で可愛らしい恋から体だけの虚しい恋まで、酸いも甘いも堪能したつもりだった。
だけど、震えるほど焦がれたことがあっただろうか。
それとも、これは高熱に浮かされているが故の幻想?
あるいは、好き合っているはずなのに手に入らないもどかしさの現れ?
晴海が私に向かって歩いてくる。
それだけで心が満たされていく感覚がした。
シングルサイズの狭いベッドが軋んだ。
彼を迎え入れるために少し奥へ詰めると、そんな必要はないといわんばかりに引き寄せられる。
晴海の体は、少し冷たかった。
ギュッとされると肌が吸い付いたように錯覚したのは、私たちの形状が抱き合うのにジャストフィットしているからかもしれない。
私は右腕を彼の胴に巻き付け顔を鎖骨の辺りに埋め、できる限り密着した。
晴海特有のにおいが、たまらなく好きだ。
晴海に包まれる快感をうっとり味わっていると、腰の辺りにモゾモゾした動きを感じた。
寝間着の裾から晴海の手が侵入してきたらしい。
冷たくて水気を帯びた手が、ぺたりとウェストに貼り付く。