ラブソングは舞台の上で
全部脱ぐと寒いので、腕だけ服の中に入れて体を拭う。
それだけでも随分体はスッキリした。
下着から何から汗でビショビショで、冬の冷気が容赦なく冷やしていく。
熱が下がりきっていない体には心地いい部分もあるが、甘んじていてはぶり返してしまう。
湿った服を脱ぎ洗濯籠に放って、準備した物と取り替える。
下を終えて上のスウェットとTシャツを脱いだとき、部屋の方で物音がし始めた。
「明日香?」
晴海が目覚めて私を探し始めたようだ。
ベッドを降りてこちらに向かってくる音がする。
「ここにいるからちょっと待っ……」
ガチャ
晴海の部屋と違い、うちの脱衣所には鍵がついていない。
私は反射的に新しい衣類で前を隠し、扉に背を向けた。
「よかった、いた」
晴海は心底安心したようにため息をついているが、私にとってはそれどころじゃない。
「いなくなるわけないでしょ。汗かいたから着替えてたの」
「なんだ、そうか。悪化するから早くしろよ」
「そう思うんだったら出て行って」
「……ごめん」