ラブソングは舞台の上で

全部脱ぐと寒いので、腕だけ服の中に入れて体を拭う。

それだけでも随分体はスッキリした。

下着から何から汗でビショビショで、冬の冷気が容赦なく冷やしていく。

熱が下がりきっていない体には心地いい部分もあるが、甘んじていてはぶり返してしまう。

湿った服を脱ぎ洗濯籠に放って、準備した物と取り替える。

下を終えて上のスウェットとTシャツを脱いだとき、部屋の方で物音がし始めた。

「明日香?」

晴海が目覚めて私を探し始めたようだ。

ベッドを降りてこちらに向かってくる音がする。

「ここにいるからちょっと待っ……」

ガチャ

晴海の部屋と違い、うちの脱衣所には鍵がついていない。

私は反射的に新しい衣類で前を隠し、扉に背を向けた。

「よかった、いた」

晴海は心底安心したようにため息をついているが、私にとってはそれどころじゃない。

「いなくなるわけないでしょ。汗かいたから着替えてたの」

「なんだ、そうか。悪化するから早くしろよ」

「そう思うんだったら出て行って」

「……ごめん」

< 193 / 315 >

この作品をシェア

pagetop