ラブソングは舞台の上で

部屋に戻って熱を測ると、38.5℃。

まだ人間らしく行動するには無理のある体温だ。

晴海は体温計を見るなり険しい顔をした。

「会社、行きたいのに……」

私がそう呟くと、更に顔が険しくなる。

「仕事なんてやってる場合か。病院行くぞ」

「……はい」

今日は金曜日。

二日も休んでしまって、更に土日も挟むから、四連休することになる。

来週の仕事が怖いけれど、今は完全に治すことを考えるのが責任ある社会人としての務めか。

「ねえ、夕方までに熱が下がったらさぁ」

「稽古出るとか言うなよ」

「……言うのやめる」

晴海に手を引かれ、一番近くの内科へ行った。

検査の結果、インフルエンザではなかった。

処方箋で抗生剤を受け取り、コンビニに寄って新たに食料や飲料を調達。

私を部屋の前まで送り届けると、晴海は時間だと言って部屋には入らず、コンビニのバイトへ向かってしまった。

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