ラブソングは舞台の上で

翔平の顔を見ていると、思い出や感謝の気持ちと一緒に、涙が出てきた。

「なんで明日香が泣くんだよ」

「そうだよね。変だよね」

私たちが別れてから、もう半年が経っている。

苦しくて後味の悪い別れだった。

嫌いじゃないのに堪えられなくて、それがなぜだかわからなくてモヤモヤした。

私に恋愛は向いていないからだと無理矢理結論づけ、新しい恋にも消極的になっていた。

ズルい私は、寂しさを感じた時、別れなければよかったと後悔したこともある。

だけどもう、翔平と別れたことを悔やんだり悩んだりすることもないだろう。

私はちゃんと前に進めた。

「泣いたらスッキリした。私、いろいろ頑張ろう」

仕事とか、ミュージカルとか、晴海とのこととか。

保管庫を出ると、もう外は暗くなっていた。

「俺、タバコ吸って戻るわ」

「うん。じゃあ私は先に戻るね」

残りの仕事も急いで終わらせないと。

今日はミュージカルの稽古もあるのだから。



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