ラブソングは舞台の上で
ミュージカル「マリッジ・ブレイク」の上演時間は約2時間だ。
前座やカーテンコールを入れると、お客さんを楽しませる時間としては約2時間半になるという。
演劇の経験としては、小学生の頃に、20分程度の劇のちょい役しかやったことがなかった。
2時間分のセリフや動き、歌、ダンスなんて覚えられるのかずっと不安だったけれど、その点については全く心配に及ばなかった。
今年に入ってから週4回に増えた稽古で飽きるほど同じシーンを繰り返しているため、自分の役だけでなく他の演者のセリフや動きまで、眠っていても思い出せるくらい体に染み付いている。
大事なのは記憶ではなく、技術である。
懸命に演じればいいというわけじゃない。
お客さんを満足させなければならない。
ここまでハードな稽古をやる理由は、お金を頂くに値するクオリティに仕上げるためだ。
そのために、今日も高田さんの怒号が飛ぶ。
それはわかっているのだが……。