ラブソングは舞台の上で

「揃ってないぞ! もっとピタッと止まれヘタクソが!」

「カッコ付けんなバカタレ! ここは惨めなシーンなんだよ恥を捨てろ!」

「オラそこ振りが小さい! 手足が短くても長く見せろ!」

高田さんは何かひとつできるようになっても、決して褒めたりはしない。

シーンで区切り、1〜3個ずつを集中して稽古しているが、完成度が上がっていくごとに求められることの難易度が上がっていく。

すると疲労やストレスも相まって、だんだんこれが指導であると思えなくなってくる。

そうなると彼の言葉はただの罵倒・侮辱・誹謗にしか聞こえない。

しかし、この劇団に関して全ての権限を持っている高田さんへ、不満をぶつけることなど許されないのだ。

「ほんっとマジムカつく」

「そこまで言うならテメーでやれっつーの」

「ぜったいあたしたちをストレスの捌け口にしてるよねー」

今のところ聞くだけにとどめてはいるが、稽古後の悪口タイムはどうやら演者と演出家の秩序を守るための必要悪であるようだ。

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