ラブソングは舞台の上で
一気に言い終えた詩帆さんは、
「でしょ?」
という顔で私を見る。
本当に、詩帆さんの言う通りだ。
私が思ったことや考えていることを口に出すのが苦手なのをわかっているから、代わりに(思っている以上のことを)言ってくれた。
吐き出せなかった鬱憤が出ていったような感じがして、心がスッとした。
「って、そのガキに直接言ってやりなよ」
「え?」
無理です。
好きだとすら言えなかったのに。
「お互いの良い関係のために、言いたいことを我慢しなきゃいけない時は多々あると思う。だけど、どうせ上手くいかない関係なんだったら、遠慮なく思ったこと言う方がいいよ」
「でも、もう会うこともないと思いますけど」
たぶん、一生。
「もし会えたらの話よ。私だってクソオヤジの女遊びが判明したときは、もう一生会うことないと思ってたけど、結局今に至るんだからね。気持ちが繋がってると、どんなに揉めたって離れられないもんなのよ」
気持ちが繋がっていれば……か。
果たして私と晴海の気持ちは、繋がっているんだろうか。
私に「出て行け」と言ったときの晴海の顔を思い出す限り、繋がっている気は全くしない。
「なんだかまた泣けてきました」
「またブス顔で会社に来るつもり?」
「そしたらまた詩帆さんに直してもらいます」