ラブソングは舞台の上で

—————

僕は正直 驚いているよ

君も同じ気持ちなんて

片想いだと 諦めてたんだ

だけどもう我慢しない

君の微笑み 仕草

全てが心 掴む

嘘はつけない 自分に 君に……

君のことばかり考えてたよ

夜も眠れないことだってあるさ

この気持ちを隠していると辛い

僕も打ち明ける 君が好きだよ

愛しているよ

—————

晴海が私を愛おしそうに見つめながら歌ってくれるはずだったこの曲。

彼の歌う姿を見て密かに胸をキュンとさせていたのに、もう見られないのか。

この歌はその後、ハモりを入れた掛け合いのデュエットになる。

束の間の愛を確かめ合って、その後すぐに別れることになる悲しいラブソング。

「だから打ち明けるわ あなたが好きよ……」

歌い終わったのと同時に、アパートの前へと到着した。

歌っている間は頭の中がアンジェラモードだったのだが、ふと思い出す。

この歌はもう、私の曲ではない。

フッと息をついて2階を見上げると、誰かが手すりに寄りかかって、こちらを見ているのに気付いた。

小声だったけれど、歌っていたのを聞かれてしまったかもしれない。

だとしたらすごく恥ずかしい。

この寒い中、そんなところで何やってるんだろう。

彼のいるところを通らないと、私の部屋には帰れないのに。

などと思っていると。

< 246 / 315 >

この作品をシェア

pagetop