ラブソングは舞台の上で



眠る直前、ふと思い出して尋ねてみた。

「晴海、誰に呼ばれてあの合コンに来たの?」

クソオヤジさん本人か、彼がたぶらかした女子大生か。

もし本人だったら彼がどんな人か聞いてみようと思っていたのだが、予想外の答えが返ってきてしまった。

「あー、あれは卓弥さんだよ」

「えっ? うそ、卓弥さん?」

ちょっと待って。

それって、クソオヤジさんの正体は卓弥さんだってこと?

「元々は卓弥さんが男側の幹事だったんだよ。でもデートが入って出られなくなったからって、ヒロイン探してる俺に回ってきたんだ」

「なるほどね」

詩帆さんより結構年上、女好きのろくでなし。

そういえば忘年会の時、その足で海外へ行くと言っていたけれど、もしかして詩帆さんとパリに行ってたんじゃ……。

バッチリつじつまが合っている。

私は今、すごい二人の間に立たされているのかもしれない。

卓弥さんと詩帆さん。

二人とも異性関係に問題はあるが、お似合いのカップルだ。

本人は認めないけれど、詩帆さんは卓弥さんが大好きだ。

卓弥さんを愛しているから、誰のものにもならない。

卓弥さんは詩帆さんのこと、どう思ってるんだろう。

性欲が落ち着いたらハゲる前に結婚したいと言っていた。

願わくば、その相手が詩帆さんでありますように。

詩帆さんには幸せになってほしい。



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