ラブソングは舞台の上で
3時間弱の睡眠から自分を叩き起こす。
隣で眠っている半裸の晴海を起こさないようにベッドを抜け、急いで出社の準備。
シャワーを浴びに浴室へ入って驚いた。
「なにこれ!」
右の乳房の内側に、くっきり浮き出ている赤い痣。
これってもしかして、噂のキスマーク……?
お湯で流しても石けんで磨いても落ちないそれは、晴海の独占欲の化身のようで、照れくさいけれど愛を感じた。
体は重いが心はどんどん舞い上がっていく。
着替えたり髪をセットしたり、メイクをしたり……。
時間がなくてバタバタしたけれど、晴海は爆睡していて一向に目覚める気配はない。
あれだけしたのだから、仕方ないか。
私は鍵をテーブルに置き、
『鍵は1つしかないから、あとで返してね』
と置き手紙を書く。
そしてスヤスヤ気持ち良さそうに眠っている晴海の寝顔を携帯で撮って、頬に軽くキスをした。
なんかこういうの、初めてだな。
ベタなことをやってる自分が恥ずかしいけど、悪くない。
私はいつものバッグと稽古の着替えを持って、緩んだ顔で部屋を出た。