ラブソングは舞台の上で

胸を押し返すと、晴海は渋々私を解放した。

膨れっ面で私を見つめている。

「じゃあ今日、うち来る?」

私がそう提案すると、晴海はまるでこの言葉を待っていたかのように満面の笑みを見せた。

「行く!」

そして両手でがっちり私の頬を掴んで、会社帰りと思われるサラリーマン風の男性が向かいの歩道を歩いているのに、遠慮なくキスをした。

「もう。こんなところで!」

と怒ったフリをしながら幸せを満喫する。

私たちはそこから稽古場までの約100メートル、どちらからともなく手を繋いで歩いた。

「おはようございまーす」

稽古場の扉を開くと、それらはすぐに目に飛び込んできた。

「わぁ……」

「すげぇな」

パールホワイトの控えめなウェディングドレスと、濃淡様々なピンクのフリルがあしらわれたプリンセスドレス。

そして、ショートカットの私のために作られた、ゴージャスなヘアスタイルのカツラ。

これがヒロインの衣装か。

デザイン画で見るよりずっと美しい。

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