ラブソングは舞台の上で
「きっと先約があるんですよ」
その4日間は、決して女の子とのデートじゃありません。
だからあまり怒らないであげてください。
「どうだかね。とうとう縁が切れる時が来たのかも」
いやいやいや。
卓弥さんはそんなつもりないと思いますから。
「他の男性を誘ったらいいじゃないですか。当て付けで」
そしてヤキモチを妬かせてやればいいと思います。
会場内にはいますから。
「うん。そう思って、もう誘った。森くんを」
「ええっ? しょ……森さんを?」
私の反応を見て、詩帆さんは満足そうに笑った。
当て付けられたのは私の方なのかもしれない。
もしかして詩帆さんは私が卓弥さんと知り合ってしまったことに気付いてるのだろうか。
「千秋楽のチケット、2枚よろしく」
「は、はい……」
元カレに今カレとのラブシーンを見られることになってしまった。
複雑な気分だけど、作品に感動してくれますように。