ラブソングは舞台の上で
私はどうして良いかわからず、当然の悪評とパイの衝撃にただただ堪えた。
そして観客が全ていなくなると、今度は左からの攻撃が始まる。
「あーあ。今回の舞台は完全に失敗だな」
「舞台も衣装もメチャクチャだし、明日からの公演は無理ですね」
タカさんと堤くんがそう言って、私に当たってステージに落ちたパイを、汚いものを触るように拾い上げ、私へと投げてきた。
「私、ちゃんと掃除します! 洗濯もします! 足も、明日までになんとか治します!」
必死で訴えるが、鼻で笑われてしまった。
今度は右からだ。
「バカじゃないの? 治るわけないじゃん」
「もう最悪ー。やっぱあたしがヒロインやればよかったぁー」
ともちゃんと恵里佳ちゃんも、同じようにパイを拾い上げ、憎しみともに私へと投げつける。
晴海に視線を移すと、まるでこの世の終わりのような絶望的な表情をしていた。
すべて、私のせいだ。
転んで足を捻挫し、衣装を破いてしまった私の責任だ。
大事な卒業公演なのに、劇団のみんなの努力を私ひとりが台無しにしてしまった。
「晴海、ごめん。ごめんなさい!」
晴海は死んだような目つきで私を捉えると、唸るような低い声でハッキリと告げた。
「……死ねよ、もう」
息ができないくらいに胸が痛む。
もう本当に、死んでしまいたい……。