ラブソングは舞台の上で

「あ、ごめんなさい。ボーッとしちゃってて」

みんなは惚けている私を笑って、

「さあ、着替えて飲みに行こう!」

と再び盛り上がる。

「ねーねー。卒業したからあたしたちも行っていいでしょー?」

「いいけど未成年に飲ませる酒はねぇぞ」

「チッ」

「堤てめー今舌打ちしただろ」

「してませんよ」

舞台が成功してよかった。

みんなが笑ってくれて、よかった。

怪我をしていても舞台は成功させられた。

安心で体中の筋肉がほぐれていくような感覚がする。

そしたら一気に睡魔がやって来た。

「眠いの?」

晴海が私の顔を覗き込む。

「うん。昨日はよく眠れなかったから」

「うなされてたもんな。酒はドクターストップ食らってるし、今日は帰るか」

「私はそうする。けど晴海は行ってきなよ」

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