ラブソングは舞台の上で




3回目の公演も無事に終わり、迎えた千秋楽。

公演前の楽屋は、今までとは雰囲気が全く違っていた。

最後だからか、演者のみんながソワソワしている。

今まではみんなで冗談を言い合って笑い合っていたのに、今日は個々人でコソコソ話をしている。

晴海との舞台はこれで最後だし、各々思うところがあるのかもしれない。

そういえば晴海が見当たらない。

ドレス姿で探してみると、客席の方にいた。

照明さんや音響の卓弥さんと、何やら真剣な顔で打ち合わせをしている。

昨日の公演で、音と照明が合わなかったシーンがあったから、その件だろう。

卓弥さんに今日詩帆さんが来ることを伝えて反応を見たかったけれど、邪魔はしちゃいけない。

私はすぐに楽屋に戻った。

「明日香ちゃん、そろそろメイクやっちゃおう」

ともちゃんに声をかけられ、鏡台の前へ。

「うん、お願いします。このスゴいメイクも最後だね」

右足に気を付けながら、鏡台の前に座る。

「気に入ったんだったら、いつでもやってあげるよ?」

「このメイクで外を歩く勇気はないなー」

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