ラブソングは舞台の上で




合コンに参加したのは、会社の先輩の誘いだった。

長く付き合っていた人と夏に別れて以来、全く浮いた話のない私を心配してくれていたようで、

「12月に入ったから、クリスマスに一緒に過ごせる相手を見つけなさい」

と無理矢理参加させられた。

参加してみたのはいいが、ピンと来る相手は見つからず、二次会にまで強制参加させられ、あのザマだ。

どうやら私は恋愛に向いていない。

薄々勘付いてはいたが、確信に変わった。

二次会にまで参加して、私は誰にも連絡先を聞かれなかった。

あの合コンが恋に繋がることはなさそうだ。

もうどんな人達だったかすら覚えていない。

記憶に残っているのは、変な男に何だか妙なお願いをされたことくらい……

「おはよう、マイヒロイン」

……え?

ぱちっと目を開けると、見覚えのない景色が広がった。

どうやらベッドのようだが、私のシーツの色ではない。

肌触りも違う。

匂いも違う。

壁の色も違う。

どこ、ここ。

ごろりと寝返りを打つと、視界に半裸の男が飛び込んできた。

下はスウェットを履いているが、割れた腹筋はむき出しのまま。

濡れた髪にはタオルがかけられ、ベッドの外でガシガシ水分を拭っている。

ああ、見惚れるほど理想的な上半身だなと思ったら、シャワー上がりの田代晴海だった。

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