ラブソングは舞台の上で

「ぷ、プレイ?」

詩帆さん、そんなつもりで話してたんですか?

「あの彼、結構マッチョだったじゃない? そっちの方も、体力ありそうよね」

「違います!」

「何が違うのよ。私には隠さなくたっていいってば。私だって昨日はプレイしたよ。今日もすると思うよ。昨日とは違う彼だけどさ」

いやいや、そんな軽いノリで暴露されても。

詩帆さんの方がよっぽど大胆じゃないですか。

一体何人彼氏いるんですか。

ていうか、朝っぱらから会社で何言ってるんですか……。

さすが自他共に認める男好き。

ここが更衣室でよかった。

こんな話を男性社員に聞かれていたら恥ずかしすぎる。

「本当に違うんです。プレイはしてません」

「じゃあ昨日は何してたの?」

ぐ、と息を飲んでしまう。

これを白状してしまうのは、いくら詩帆さんでも勇気が必要なのだ。

「実は私、ミュージカルに出演することになりまして」

「は? ミュージカル?」

「はい。ミュージカル」

詩帆さんは私の顔を見て、数秒間固まった。

「ぶははははは!」

あーやっぱり笑われた。

こうなるとわかっていたから言いたくなかったのだ。

でも、気持ちはわかる。

毎日淡々と仕事をやる私が舞台で歌って踊るなんて、想像すると面白いに決まってる。

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