ラブソングは舞台の上で

「想像以上だな。自分が作った曲なのに、感動しちゃったよ」

「ありがとうございます」

そんなに褒められると恥ずかしい。

でも、私の歌がこのミュージカルに生きるんだという自信になるから、ありがたい。

「歌詞の言い回しも問題ないし、明日香ちゃんほどの歌唱力があれば、フェイクを入れたり崩して歌ってもいいかもしれない」

「フェイク……考えてみます」

「声を聞いて、追加する3曲のイメージも固まったよ。完成を楽しみにしといて」

「はい」

卓弥さん、女性関係はだらしないみたいだけど、しっかり作曲家としての役割を果たしてる。

それに、こんなに繊細な歌を作れるんだから、本当は心のキレイな人なのかもしれない。

「ところで明日香ちゃん。今いくつ?」

「24ですけど」

「10コも下かぁ。でも、愛さえあれば年の差なんて関係ないよね」

「え?」

「稽古の後、ヒマ?」

はっ! ダメダメ。

また騙されちゃうところだった。

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