ラブソングは舞台の上で
ここで再び、晴海が割って入ってくる。
「たーくーやーさーん?」
「何だよ晴海。邪魔すんなよ」
「稽古の後、明日香は俺と個人練習です。ヒマじゃないっす」
「えー残念。あ、じゃあ24日は……」
「その日もダメです! 俺が先約取ってます!」
まったく、油断も隙もない人だな。
もちろん、誘われたってついて行くつもりはない。
妊娠してしまう。
「晴海ちゃん!」
後ろで声がした。
さっきまでストレッチをしていた恵里佳ちゃんが、立ち上がって眉間にしわを寄せ、両手をぎゅっと握りしめている。
「恵里佳?」
「晴海ちゃん、24日……明日香さんとデートするの?」
この子、泣きそうな顔してる。
晴海に視線を送るが、彼はこちらを向かない。
ただでさえ彼女とはギスギスしているから、あんまり刺激するようなこと言わないで。
そう念を送ったが、彼は真っ直ぐ恵里佳ちゃんを見て言った。
「そうだよ」