ラブソングは舞台の上で

「ひでーな。明日香も珍しくスカート履いてるくせに」

指摘されて、ドキッとした。

晴海も私の変化に気が付いたのだと思うと、ちょっと嬉しくてものすごく照れくさい。

「別に珍しくないもん。普段から履いてるし」

もちろん、嘘です。

制服以外、ほとんどパンツスタイルです。

「そうなの? 俺とデートだから、あえて選んだんじゃなくて?」

こういうセリフを恥ずかし気もなく言えて、すごいと思う。

「ち、違うし!」

私は照れをコントロールできなくて、そうだよと認めることさえできない。

「あははは、赤くなってる。バレバレ。明日香、わかりやすい」

「本当に違うから!」

「はいはい。可愛いなー明日香は」

「うるさい。生意気。年下のくせに」

「一個しか変わんないじゃん」

本当に、こいつには敵わない。

少しの情報から私の心を読み取って、怒らせたり喜ばせたり恥ずかしがらせたりする。

腹が立つけど、なぜか楽しい。



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