俺様社長の言いなりです
「ありがとうございました」


運転手さんに見送られ、ホテルへ入ると、高級感溢れる木目を基調としたラウンジがすぐに目に飛び込んだくる。


そこは約十年前、社長がデザインを手掛けた場所で、今のような世界的デザイン会社へとなるきっかけだったらしい。


幾つかのソファーを通り過ぎ足早に父の方へ向かうとお相手の男性は早くも来ていてこちらを向き、


「こんにちは」


丁寧に斜め45度で頭を下げた。


__禿げてないし、どうやら若いみたい。星三つ!


こっそり心の中でお見合い相手の男性を評価した。


ああ、正直これくらいで性格が悪いなんて言わないでほしい。


これは一年間ずっとお見合いして勝手に身についた癖であって、もとから初対面の人に評価を下すような性格じゃなかった。


まあ、そうなるくらいお見合いをしたということにはなるのだけれど、それにしても今回は高評価。


星三つなんて初めてで、大抵は一、良くても一.五といったところなのだから、まさに‘‘最高級品”だ。


でも挨拶してくれた男性が頭を上げた瞬間、わたしは驚きのあまり目を見開いた。



「……芦沢社長? 」
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