欠片になった彼と、彼女の記憶
「優弥!ねぇ、優弥!まってよ!」
優弥は私の言葉にも耳をかさず、来た道をグイグイと戻っていく。
それでも手を力強く握られたまま真っ直ぐ進む優弥に
「ねぇ!なんで?明日から使う校舎見に行くんじゃなかったの?」
「そっち家の方向だよ?」
「一人で歩けるから離してよ!」
としつこく話しかけていた。
だけど男の人と、180cmもある人との歩幅には着いていけず
「きゃあ!!!」
私はその場で転んでしまった。