欠片になった彼と、彼女の記憶
「とにかく帰る」
「わ…分かった!」
未だに私は下を向いたまま少し固い感じで言う。
「悪かったと思ってる
けど何でこんなことするかお前には分からないよな…?」
「…う…ん驚いた」
その言葉の返事をするのに、ようやく私は優弥を見上げることが出来た。
「嫉妬してんだよ
それくらい分かれ」
「え?!」
思いもよらない発言に驚いて目を広げる。
「じゃあな」
優弥はそれだけ言ってそそくさと部屋を出て帰ってしまった。
「嫉妬って…」
考えながら少し唇を抑える。
優弥にキスされること自体あまり嫌ではなかった。
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