欠片になった彼と、彼女の記憶
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優弥に彼女か…どんな子だろう。同じ大学なのかな?
夕方には授業が終わり、家までの道を歩いて帰っていた。
沙希に言われた〝実はもう茂呂には彼女がいるからそういうの止めて…とか?〟という言葉が頭から離れず地面に顔を下げながらため息をつき立ち止まる。
ふと、
「なんでため息なんてついているんだろう」
と自分の口からそんな言葉が出てきた。
それと同時に
「おい」
聞きなれた声が頭の上から降ってきた。
見上げると少し首を曲げ私を見下ろしている彼が。