欠片になった彼と、彼女の記憶
ドアを開けたと同時に、門の塀に寄りかかっていた優弥が姿勢と顔を起こし
「はよ」
と少し微笑んで挨拶してくれたので
「おはよう!」
と返す。
「…行くか」
いつものように優弥が前を歩いて駅へと向かった。
優弥はVネックのロンTにジーンズを履きこなしていて彼の性格同様、私服も至ってシンプルであった。
街だからといって特別お洒落な格好をしていない優弥を見て、大学生になっても変わらないんだと思いつつ背の高い彼の後を追ったのだった。