欠片になった彼と、彼女の記憶


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何かが髪に頭に優しく触れていて気持ちがいい。


ふっと目を開ける。


あれ、いつの間にか寝てた。もう夕方かな?夕日が眩しい。



「起きた?」



聞きなれた声が耳に入ってくる。



そこにはベッドの隣に座って私の頭を撫でている優弥がいた。



「え?優弥?」



「そうだけど」



なんでいるのか驚いたけれどそれよりも



「やめて…頭…触らないでよ」



「なんで?」



「嫌…だから…」



本当は心地よくてもっと、と思ってしまう自分がいたけれど今はなぜか素直になれない。



「まじで嫌だと思ってるなら手を叩けば?」



優弥の顔が少し曇ったのが分かった。


けれど


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