欠片になった彼と、彼女の記憶



≪パシッ!≫


私は優弥の言った通り撫でられていた手を叩いた。



「嫌だってば。なんでいるの?風邪うつったらいけないし帰って」



優弥は驚く様子もなくジッと私を見つめて話し始めた。



「お前この前から何か変じゃないか?」



「変じゃ…ない」



「ずっと考え事してて、昨日だって結と偶然会って…いきなり用事できたとか言って帰るし」



「帰ってない!りっちゃんと遊びに行っただけだもん」



図星をつかれて優弥がいる方と反対側に体制を転がした。



「志麻は昨日旅行に行ってたって言ってたけどな」



優弥の返事にビクッとする。


うそ!りっちゃん旅行行ってたなんて…嘘バレバレじゃん!



「今日講義で会ったから昨日は夢乃、体調悪そうだったのか聞いたら志麻に昨日はお前とは会ってないって言われた。…で、どうなの?」



背後でギシッとベッドが沈んだのが分かった。


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