欠片になった彼と、彼女の記憶


「え?」



優弥からの意外な返事に戸惑った。



「結はバイト先の同僚」



「でも、優弥のこと呼び捨てで呼ぶ子初めて見たし…それに優弥だって結さんのこと…女の子呼び捨てにするの私以外で初めて聞いた」



「だって結は親戚だし、つーか結って苗字だし」



「え??」


彼女は結 まひろといって優弥のバイト先の同僚兼親戚だった。


2歳ほど年上だからとのことで優弥を呼び捨てにしていて、優弥からしたら年上なので苗字を呼び捨てで呼んでいたという。


今日休みだから出かけようって言ったじゃん!と言っていたのは、久しぶりに親戚同士で集まるのに、バイトも希望休ではなく公休だった優弥は行けないと理由もなく断っていたからで


予定って女の子?と聞いたのはこの子が優弥が話していた夢乃という子なのか、そうだとしたら仲良くしたいという意味だったらしい。



「……」



私は自分のしていた勘違いに恥ずかしくなり肩まであった布団を頭まで被る。



「あ…おい!」



「じゃあ…約束ってなんなの?分からない」




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