欠片になった彼と、彼女の記憶
「と…とにかくもう分かったから…どいてよ」
先程から優弥が自分に覆いかぶさるようにしているのが気になって仕方がなかった。
「なんで?」
「なんでって!お…重いし!」
「体重かけてないけど?」
「っ…そうだけど…」
胸がドキドキして、幼なじみなのに意識してしまう。
「俺に彼女がいるんじゃないかって…どう思った?」
「どうって…」
おもちゃを取られた子供みたいだったって冗談を言おうとしたけれど、それより熱のせいではなくて優弥にドキドキしていて顔が赤いことに気付かれたくなく口どもってしまう。
けれど…
「モヤモヤ…した…かな」
優弥の顔はきちんと見れず伏し目がちにそう答えた。