欠片になった彼と、彼女の記憶
優弥からは何も反応がなく家の前の道路を通るトラックのブルルルという音が、この静かな部屋に響いていた。
しばらくして
「うん。それでいい」
優弥は一言そう言ってベッドから降り立った。
「それでいいって、どういうこと?」
優弥がベッドから降りてくれたので、私は起き上がるようにして体勢を整える。
「時間がかかっても自分で思い出してほしい、って言ったよな?そういうこと」
「…よく分からない」
「俺はお前の無くした記憶を少しでもいいから取り戻したい。けれどそれはお前にとってはいらない記憶なのかもしれない。それならもうこのままでもいい、そう思って今まで何も行動はしなかった。でもさっきの言葉で決めた」
「決めたって…」
その時突然グッと腕をつかまれ優弥の方に身体が引かれた。
「!!!!!!!!!!!!」