欠片になった彼と、彼女の記憶
「合宿かぁ!楽しそう!ね、優弥!」
合宿とかいつぶりだろう。
新しい友達もできるかも!と思いながら、隣にいる優弥の方へ顔を向ける。
「そうだな。…落ち着けって」
フッと笑うように優弥は私の目を見てそう言った。
〝取り戻すよ、お前の記憶〟と言われたあの後、どう顔を合わせ話せばいいか悩んでいたが優弥はあっさりと前のように接してきて拍子抜けした私がいた。
ただ、それ以来彼の目を見るのがなんだか恥ずかしくてあまり視線を合わせてはいられなかった。
「じゃあ決まりだな!部長には伝えておくから後で詳細を送るな!」
てつ先輩は新入部員の仲間入りに嬉しそうに目を細めて講義へと向かって行った。
先輩に手を振りつつ
「そういえば沙希とりっちゃんも写真サークル入るようなこと言ってたな~!結局入ったのかな。後で聞いてみよ~合宿行くかな~」
と、これから起こる新しい出来事にワクワクしながらつぶやいたのだった。