欠片になった彼と、彼女の記憶
お互いの唇が触れそうになった時、
「お~い!茂呂~!」
「夢乃ちゃ~ん!」
誰かに呼ばれお互いハッとして離れた。
声がした方を見る。
「あ…りっちゃんとてつ先輩だ…」
「行くか。もう大丈夫か?」
「…うん」
何食わぬ顔をして優弥が先にベンチから降り、私はその後をゆっくり追いかける。
さっきのは何だったんだろう…
本当にキスしちゃうのかと思った。
2人が来なければしてたのかな。
普段全然意識してなかったけど、優弥の手ってあんなゴツゴツしてて知らない人みたいだった。
「熱い…」
触られた頬が熱い。
私はその熱も冷めぬまま2人と合流したのだった。