欠片になった彼と、彼女の記憶
「さてと、お前の変な自己紹介も終わった事だし行くか!」
優弥がボーっとしていた私の手をひっぱる。
あ…そっか。優弥も同じ大学だったんだ。知っている人がいるならちょっと安心かも。
「て…え?!変な自己紹介じゃないし!ちょっと名前言う練習してただけじゃん!」
「十分変だ。さっきの自己紹介、転校してきたての小学生かよ」
「…そんなにバカにしてたら優弥に友達出来ないよ!」
私はバカにされたことに対して冗談交じりに仕返ししたつもりだった。
「夢乃がいれば……~」
前を歩いていた優弥は一度立ち止まり、顔を下に向けて何かつぶやいていたけれども私にはそれが聞こえず
「早く行こう!」
と優弥の背中をポンと押したのだった。