欠片になった彼と、彼女の記憶



「やっぱり夜は冷えるな~」



片手で反対の腕をさすりながら歩いていると、自販機の手前にある長い椅子に座った男の人を見つけた。


遠くからじゃわからないけど、てつ先輩かな?何か考え事してるみたい。


てつ先輩であろう男の人はボーっと目の前にある壁を眺めていて心あらずという言葉がぴったりに見えた。


邪魔するのも悪いし、もう一つの自販機に行こうかな。と足を止め方向を変えようとした瞬間



「村下!」



どうやら気づいたみたいだ。



「あ、やっぱりてつ先輩だったんだ」


遠くからなのに先輩は結構視力いいんだな~そんなことを思いつつ先輩の方へ体の方向を戻した。



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