欠片になった彼と、彼女の記憶





「いや…そんなことがあったなんて、もう大丈夫なのか?」



「かすり傷だけだったので体は元気ですよ!ただ、今でも少しだけ昔の記憶が薄いというか……」



「あぁそうか、だから…」



先輩は何か考え込むようにして口を閉じた。


そんな先輩を不思議に思ったが、先輩が何か言いたげだったので様子を伺いながら沈黙の時を過ごした。



「あのさ、村下」



「はい」



先輩が私の目を見て




「俺、村下のこと高校の時から…ずっと好きだった」



「え…?」



先輩はもう一度はっきり言った。



「いや、今も好きなんだ」





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