欠片になった彼と、彼女の記憶
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「終わった~!」
入学式が終わり解散となっていたので、私と優弥は入学式の会場を出て明日から勉学に勤しむ校舎の方へと足を向けていた。
「座っているだけも結構疲れるな」
「明日から座っていられるかな~」
「お前…ちゃんと勉強しろよ」
少し呆れた顔で隣を歩いていた優弥が私の方を向く。
太陽が優弥の髪の毛にキラキラ反射していて少しドキドキしていた瞬間
「そこの茶髪ロングヘアーでふわふわな子!」
大きな声とともに肩にスッと手を置かれる。
「え?!」
手を置かれた方に振り返ると
「てつ先輩!!」
そこには背が高く、少したれ目で茶色に染めた短髪が似合う私たちがよく知っている男の人がいた。