欠片になった彼と、彼女の記憶
第3章 距離感
君との時間
ドタバタなサークル合宿も終わり、学生にとっては夏休み前の恒例行事前期試験の季節がやってきた。
「あぁ~夏休みが遠い…」
「赤点だと追試あるしね~」
「夏休みが追試で潰れるのは勘弁してほしいね」
いつものように講義の空き時間に夢乃、律、沙希でたわいもない会話をする。
「そういえば授業でわからないところあるんだけど2人ともわかる?」
「どこー?」
「どれどれ」
ノートを広げわからない部分を提示して2人の解答を待つ。
「「……」」
「まさか2人もわからない?」