欠片になった彼と、彼女の記憶
「村下に茂呂!久しぶりだな~!」
彼は黒守哲士(クロカミ テツシ)。一つ上の学年だ。
高校生の時に私と優弥が入っていた写真部の先輩にあたる。
人脈が広くて友達も多いおおらかで優しい先輩だった。
お久しぶりです、と隣にいる優弥と先輩に向かって頭を下げ再会を懐かしむ。
「てつ先輩もこの大学だったんだ!」
「この前うちの大学に来るっていう後輩たちと集まったんだけど、村下と茂呂はいなかったから結局違う大学の方に行ったのかと思ったよ」
「この前…?」
私は首を傾げたのを見てか、優弥が口を開いた。
「あぁ、夢乃が風邪ひいて寝込んでたからキャンセルしたやつか」
「え?!何それ私知らない」
「だってお前の携帯粉々で…」
ハッとした顔で優弥が話すのを止めた。