欠片になった彼と、彼女の記憶
もっとこっちへ
優弥に言われた通りビシバシと勉強を指導され、すっかり夜になってしまった。
「あれ…雨降ってる」
「部屋にいたから気づかなかったな…小雨程度だけど」
3軒先だが、雨が降っていたこともあり優弥が傘をさして家まで送ってくれた。
家の玄関を開けようとガチャッと手をかける。
ガチャガチャ…
「え!嘘!お母さん鍵かけてる!しかも灯りついてないから誰もいないじゃん!」
「まじかよ…さすがお前の親だな」
「優弥の家で勉強してくるとは言ったけど…だとしても泊まるなんて言ってないし!」
「てか鍵持ってないの?」
「いつも誰かしらいるしこんな遅くなると思ってなくて…」
「…まじか」
なぜかお互い無言になってしまう。