欠片になった彼と、彼女の記憶


すると優弥が話始める。



「寝た…か。俺さ、夢乃の記憶がなかなか戻らなくて結構焦ってる。

知らない内に告られてたりするし。

つーか先輩知ってるくせに…

お前が記憶ないとか言うから言い寄って来て…

俺が隣にいるから大丈夫だなんて思ってちゃダメなんだな。

早く戻ってくれよ頼む…」



そう吐き捨てた後にギュッと頭を抱え込まれる。


これって優弥の本心なのかな?


ただ、優弥が記憶に関して早く戻ってほしいという思いは本音だと思った。


そして抱きしめられている事にドキドキして落ち着かない自分をどこか懐かしく感じていた。


そんなことを考えているうちに、私は優弥に包まれながら目を閉じ眠りについたのだった。





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