欠片になった彼と、彼女の記憶



「村下?」



先輩に呼ばれてハッとする。



「どうした?ボーっとして」



「あ、なんでもないです!何かペンギン元気すぎって思って!」



「……なんかごめん。無理してないか?」



「…」



「やっぱり村下を笑顔に出来るのは茂呂なんだな」



「そんなことないです…でも…」



「ここを出たらさ…この前の返事聞かせてもらってもいい?

それまでは俺と楽しんでよ先輩としてさ」



「…はい」


先輩は私の答えなんてとっくに分かっているようだった。


先輩が望むようにここだけでも余計なことを考えないように水族館を見て周るのだった。


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