先生をそれでも……
「ウグッ……」

先生の詰まった声が聞こえた。

ほら、やっぱり

「先生も私の名前知らないのに良く偉そうなこと言えましたね」

「ここの生徒は多いんだから、覚えてられる方が不思議だ!」

まあ別にいいけどね

「瀬之 夏夢(せの なつめ)」

「えっ……?」

先生が急に私の名前を読んだからびっくりした。

「名前、知らないんじゃ……」

「いや、1人だけ目についた名前があったから、もしかしてと思って言ってみた。」

「とんだあてずっぽですね」

少し頬が緩んだ。

先生が私の顔を見ている。

「どうしましたか?」

「お前……笑ってる方が可愛いなっ!」

可愛い……か。

何年言われて無かったかな。

皆からはブス、他人からはイジメられて可哀想な子。

そんな言葉しか言われてなかったから。
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