☲ミラーが笑った◎
「そうだ。遅刻したらたいへん」

「先生に怒られないようにな」

「うん。ミラーボー、じゃあ、またね」

「ああ、またな」

「バイバイ」

 授業のあいだ、ひろみはミラーボーの言っていた優という子のことが気になっていた。

(ぼくよりも成績いいのかな?きっといいんだろうな)

「ひろみ!」

「ひっ、あっ、は、はい!」

 先生に名前を呼ばれ、ひろみは慌てていすから立ち上がった。その時、教室内にどっと笑い声が起きた。ひろみが立ち上がった瞬間、座っていたいすが、ダーンと音をたてて倒れたからだ。

「おまえ、さっきからボーっとして外ばかり見ている」

「はい、すいません」

「いまは何の時間だ?」

「算数です」

 ひろみは顔を真っ赤にして、小さな声で答えた。

「今のうちにしっかり勉強しておかないと、中学に入ってから分かんなくなってしまうからな」

「はい・・・」

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