☲ミラーが笑った◎
卒業
春が来て、ひろみは町の外れにある中学校に入学した。
ヘルメットをかぶり、自転車で通学するひろみには、もうあの十字路を歩いて渡る必要がなくなっていた。
新しい友達ができ、ミラーボーのことも遠い過去のこととなってしまった。
入学して一月ほど経ったある日、小学校で同じクラスだった智がひろみのところに来て言った。
「ひろみ、おれテニス部に入ったんだ」
「テニス部?へー、どうしてテニス?」
「うん、なんか、格好良さそうだからさ。おれ父ちゃんに頼んでラケットを買ってもらったんだ」
「ラケットって、高いんじゃあないか?」
「うん、高い。だからテニス部は止めるなって親父に言われた。ひろみもやってみないか」
「テニスって、むずかしいんだろ」
「そりゃあ、むずかしいさ。でも、うまくなったら格好いいだろ」
「うん、格好いいと思うよ」
「じゃあ、一緒にやろうよ」
「でも、ラケットが無いよ」
「部室にあるから。あれを借りればいいんだ」
「へー、借りられるの?」
ヘルメットをかぶり、自転車で通学するひろみには、もうあの十字路を歩いて渡る必要がなくなっていた。
新しい友達ができ、ミラーボーのことも遠い過去のこととなってしまった。
入学して一月ほど経ったある日、小学校で同じクラスだった智がひろみのところに来て言った。
「ひろみ、おれテニス部に入ったんだ」
「テニス部?へー、どうしてテニス?」
「うん、なんか、格好良さそうだからさ。おれ父ちゃんに頼んでラケットを買ってもらったんだ」
「ラケットって、高いんじゃあないか?」
「うん、高い。だからテニス部は止めるなって親父に言われた。ひろみもやってみないか」
「テニスって、むずかしいんだろ」
「そりゃあ、むずかしいさ。でも、うまくなったら格好いいだろ」
「うん、格好いいと思うよ」
「じゃあ、一緒にやろうよ」
「でも、ラケットが無いよ」
「部室にあるから。あれを借りればいいんだ」
「へー、借りられるの?」