☲ミラーが笑った◎
三年生のあとに付いてひろみもコートの中に入ると、まもなく審判の合図で試合が始まった。

「がんばれ、がんばれ、ひろみ」

 智や他のクラスメイトたちが、フェンスの横で応援を始めた。

そのすぐ横のコートでは、女子の部の試合が同時に行われていた。

「がんばってー。優、負けないでー」

試合もさることながら、応援合戦もますます熱を帯びてきた。

 地区予選の結果、ひろみたちのチームは第三位。女子の部では、若草学園女子中学校が県南大会への出場権を獲得していた。

 それから一年半後、ひろみは隣町にある工業高校のコンピュータ学科に入学した。

将来システムエンジニアになるということが、ひろみの目標としてはっきりと意識の中に定着してきたからだ。

 工業高校は町の西にあり、すぐそばにある河川敷に広いグラウンドを持っていた。

そして、その町の北側にある山の中腹に、広大な敷地を持つ若草学園のいくつもの校舎がそびえ立っている。


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