☲ミラーが笑った◎
四人はそろって予定表が貼ってある階段上り口の壁まで歩いていった。

「バンド演奏は、一時間後だってよ」

「まだ時間があるな」

「じゃあこうしよう。バンド演奏が始まるまで、自分の気に入ったものを見る。で、時間がきたら体育館の前に集合する。これでどうだ」
と達也が提案した。

「オーケー、そうしよう」

全員が達也に賛成した。

 二人がさっさとグループを離れ、中央の階段を上がって行った。

ひろみは達也としばらく一緒に廊下を歩いていたが、ふと目に入った「交通システム研究会」の文字が気になった。

「ぼく、ちょっとここをのぞいてみるよ」

ひろみが達也に言った。

「ん?あ、そうか。おれ、あそこの自販機で冷たいもの飲んでいるよ。のどが渇いた」

達也はそう言うと、自販機のある方に早足で歩いていった。

 教室の中には、いろいろな掲示物が貼られている。

入り口の近くの壁には、コンピュータで制御する交通システムの系統図や写真が貼られ、その傍で一人の女子生徒がいろいろな質問に答えていた。
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