☲ミラーが笑った◎
「ずっと前って?」

「そうさな。百年か、二百年か。とにかくずーっと前からだ」

「そんなに前から、ここに住んでいたの?」

「住んでいたというより、長い間寝ていたのかな。久しぶりに世の中を見ているような気がする」

「ふーん、寝るのが好きなんだね」

「ん?別に寝ることが好きなわけじゃあないんだがな」

「でも、三日前に起きたんでしょ?」

「ああ、周りが妙に騒がしいと思ったら、こんな格好になっていた」

「へー、変な話だね」

「そう思うか?」

ひろみは、ふと何か気になって、周りを見渡した。誰もいない。

「もし、そばに誰か居たら、変だよね、きっと」

「そうかな。それはそうと、どこに行くところなんだ?ひろみは」

「あっ、そうだ!」

ひろみはコンビニに行くことをすっかり忘れていた。

「向こうにできたコンビニに行くつもりだったんだけど」

「コンビニで何を買うんだ?」

「消しゴム」

「そうか、消しゴムを買いに行くところだったのか」
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