☲ミラーが笑った◎
「でも、もう遅いよね。学校に行かなくちゃ遅れちゃうよ」

「それじゃあ、早く行きな」

「うん、じゃあ、また学校が終わったら来るからね」

「ああ、またな」

 ひろみは駆け足で坂道を上って行った。

「おはよう」

校長先生が校門の前で、みんなにあいさつをしている。

「おはようございまーす」

次々に登校してくる生徒も全員、元気な声であいさつをしながら校門から入って行った。

「校長先生、おはようございまーす」

「はい、おはよう」

「校長先生、まだセーフでしょ?」ひろみが聞いた。

「うん、まだセーフだけど、急いでいきなさい。でも、走っちゃだめだよ」

「はーい」

教室に行っても、ひろみはミラーボーのことを誰にも話さなかった。
もしかすると、夢だったかもしれないし、それに、友達にそんな話をしたら、ばかにされるに違いないと思ったからだ。
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