ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜


並木さんはというと、私がカフェに戻った時にはすでにいなかった。

橘君曰く、もともと顔を出すだけですぐに仕事に行かなきゃいけなかったところをギリギリまでいてくれた、とのこと。


仕事なのは仕方がない。

だけど、なんか避けられた気がして少し胸が痛くなった。


元生徒会長の先輩は相変わらず在校生に人気で、今何処にいるか一目瞭然だった。

瀬奈も気を遣ってくれて、先輩になるべく会わないように周りながら学園祭を楽しんだ。


瀬奈のお陰で、学園祭中は先輩のことも並木さんのこともそこまで考えずにすんだけど。

ふとした瞬間に思い出すのは、


『お前、それで幸せなの?』


並木さんのこの言葉。

以前は、私は先輩といられるだけで幸せだって即答出来たのに。
なんでだろう…今はそれが出来ない。


一般公開が終わる頃、トイレに行った瀬奈を待っていると、手を繋いで歩く先輩達とすれ違った。

先輩は一瞬悲しい目を私に向けると、すぐに美緒さんの方へ視線を戻す。


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