ふわ恋。〜一番の恋を貴方と〜
「先輩、ごめんなさい。私これから用事があるんです」
今は先輩と話したくない。
本当はどうして三日も電話が通じなかったのか聞きたかったけど。
これ以上、先輩を疑いたくも責めたくもなかった。
『恵里奈…やっぱり怒ってる?』
「そんなんじゃありませんよ。ただ、今日は本当に用事があるだけです」
『…わかった。じゃあまた連絡するから、近いうちに会おう』
渋々そう言った先輩に、素直に「はい」とは答えられなくて、「それじゃ、また」とだけ言って電話を切った。
あっさりと電話を切った自分に、苦笑いが漏れた。
よしっ、と気を取り直してオアシス・カフェを目指し足を進める。
時刻は夜7時前。
まだ並木さんは店にいるだろうか。
私の話を聞いてくれるだろうか。
私を避けないでくれるだろうか。
不安と緊張で、心臓は破裂しそうなほど音を立てている。